環境の世紀に相応しい農法

21世紀、環境の世紀に相応しい農法がまだありません。
20世紀までは畑や田んぼ、あるいは果樹園の中で何をどうするかだけを考えていれば、それで済んだかもしれません。しかし、地球環境問題がここまで深刻になっている今、私たちは地球的視野に立って、地球市民として、畑は草地の自然環境として、田んぼは水辺の自然環境として、果樹園は林の自然環境としてとらえ直して、正しいかかわり方を考えていく必要があります。上手にかかわれば、そこは生物多様性のある2次的な里地里山的な自然環境として蘇ります。そして、そこで得られる自然の恵みは、生産者と消費者という垣根を取り払って、自然の恵みを分かち合い、互いの命と生活を支え合う、和やかな人的環境とすることも可能です。それは、田畑の中と同じかそれ以上に大切なことです。「和み農」はそのような考えに基づく、21世紀の農法というか、「農」に親しむ人、「農的な生活」を楽しむ人、しいては専業農家にも十分通用する、「農」の指針のたたき台です。
大勢で大いに叩き合って、21世紀に相応しい指針を作り出したいと考えています。
「和み農」では以下の8つのことを大切にしています。
1.全ての生き物と共生し、
2.環境と調和して、
3.排出ガスを最小限に抑え、
4.作物と心を通わせ、
5.資材を循環させて、
6.技能を磨き、
7.“本当に安全な作物”を作る
そして、
8.神への祈りから始める

 

小川

同じ藻でも色が違う

SH380798

(盛んに酸素を生産中のサヤミドロ)

あまり目もくれない藻の話ばかりで恐縮です。もう一つだけ。
田んぼでは代掻きの後で藻が発生します。すると、農家は除草剤を撒いて藻を退治します。それから、田植えをするのが普通です。その藻の色は赤茶けた色だったり、黄色から緑になる,そのあたりの色だったりするのですが、一言でいうと、美しくありません。ところが、有機栽培の田んぼに発生する藻は、同じ種類の藻でもきれいな緑色をしています。そして、その緑が輝いている点も違います。
ですから、田んぼを見ても、そこが農薬と化学肥料の撒かれている田んぼであるか、有機栽培の田んぼなのか、私たちには即座に判別することはできませんが、藻を見れば、すぐにわかってしまいます。

 

光合成の神秘

今から30数億年前に誕生したシアノバクテリアは酸素がなくても呼吸をして、葉緑素を使って酸素を作り出したと、さりげなく言いました。それは光合成のことですが、言わずもがな光合成では同時にでんぷんも作り出しています。さて、その葉緑素ですが、私たちは木や草の緑は葉緑素だと知っているから、シアノバクテリアに葉緑素があっても別段驚かないかもしれません。しかし、そこに葉緑素がなかったら、生物の進化は何も起こらなかったわけですから、葉緑素の誕生は進化の歴史の中で最も重要な出来事と言ってもいいのかもしれません。葉緑素で行われている光合成の仕組みは現代科学の粋を以てしても未だに解明できない神秘のベールに包まれています。スーパーコンピュータの出現でヒトの遺伝子がすべて解読されたこの時代にあってもです。その複雑で、高度に洗練された生体メカニズムは”魔法”と呼ぶにふさわしいものです。例えば、植物の葉に当たる太陽光線はなんと数千兆分の一秒という速さで処理されるそうです。数千分の一ではありません。数千万分の一でもありません。数千兆分の一秒です。このような驚異的な速度を何と形容すればいいでしょうか。言葉がありません。だから、魔法?でなければ、神のなせる技、神技?
太陽光が地球に1時間注ぐエネルギーは全人類が1年間に消費するエネルギーと同じだそうですが、それをもっとも効率よく利用しているのは、我々人類が発明した太陽光発電ではなくて、葉緑素です。なにしろでんぷんというバッテリーがなくても貯蔵できる生命エネルギーに変換してくれるのですから。そんなわけで、「和み農」では、藻の葉緑素を、野菜や木々の緑を、一種畏敬の念を以って見つめます。