けなげなキャベツ君たち

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農作業をしていると、感動する場面に時々遭遇します。         年の瀬、大晦日の日に今年一番感動した場面の写真をご紹介したいと思います。 これです。                                     この見苦しく虫に食われたキャベツのいったいどこに感動したのかと、思われることでしょう。

これはまさに私の失敗作です。肥料の投入の仕方を間違えたために猛烈に虫の攻撃を受けてしまって、キャベツは見るも無残に葉っぱを食べつくされてしまい、骨皮筋衛門になってしまいました。 その数100個以上。                                        「 悪いことをしちゃったなあ。」                         と思うと同時に、                                  「 これじゃあ、なにも売り物にならないや」                  と農家の計算がすぐに働きました。 大損失です。

・・・・・と書きましたが、実は、上の写真はそう思ってから一か月くらいたった時の写真なのです。骨皮筋衛門の状態だったにもかかわらず、それはそれは必至で光合成をやってキャベツ君たちはそれでも見事に巻いてくれたのです。そういうことはほとんど期待していなかったことです。キャベツ君たちの頑張りは並大抵なものではなかったと思います。 敗者からの大復活! 8割ぐらいは復活しました。ですから、この写真はキャベツ君たちの栄光の勝利の写真なのです!                                       そう言われると、虫食いの筋と皮の部分がなんだか見事なレースの刺繍のように見えてきませんか? そう、あのレンブラントの絵の中にある貴婦人の襟の刺繍のように。

いやあ、そこまで私についてくるのはちょっと無理かもしれませんね。でも、キャベツ君に対して罪の意識のある私には、それくらい褒めておだててやりたい親心があるのです。
ちなみに、これらのキャベツはお店でちゃんと貰い手がみつかりました。 めでたしめでたし。
小川

津久井在来大豆

合資会社 大家族の津久井在来大豆にちなんだお話ししたいと思います。

1.大豆生産の背景

なぜ津久井在来大豆の生産を始めたかというと、大家族には市民が出資して経営を支え、(お金はないが生産技術はある)農家が本当に安全な食料を生産すると同時に、市民と力を合わせて将来起こりうる食料危機に備えるという、一番基本的な約束事があります。           大家族では、食料危機ないし穀物価格の暴騰はまず大豆から始まると考えています。なぜなら、大豆の国内自給率はわずか5%しかなく、風前の灯です。加えて、地球温暖化に伴う異常気象の激化や爆食中国の急激な需要増加などによって、大豆の生産も輸入環境も、急速に不確実化、不安定化しつつあるからです。

 

もう一つの理由は、和食の基本は米と味噌であると考えていて、有機栽培で生命力のある玄米と大豆、そして大豆を加工した天然醸造の味噌さえあれば、日本人は、ほかに食料が途絶えても、長期にわたって健康が維持できると考えているからです。これはマクロビオティックに近い考え方だと思います。

2.津久井在来大豆の特性

うれしいことに、相模原には津久井在来大豆という、味の濃さで定評のある、地元のお豆があります。そういう地元の在来種は栽培が容易で、しかも栄養価に富んでいます。また、味が濃いので、豆単体でも売りやすく、大豆製品にしても、おいしい物ができます。今日では、津久井在来大豆は神奈川県が推奨する神奈川ブランドに認定されています。今、全県で津久井在来大豆の振興が進められていて、県民の認知度が年々高くなっています。

3.大家族の生産方法

大家族では「和み農」で大豆の生産技術を一通り確立しています。普通にみられる化学農法の生産方法とはかなり違うかもしれません。後日またお話ししたいと思います。

続く

 

 

合同収穫祭

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いのちいきいき栽培研修会と自然耕塾はいずれも一年のコースです。ですから、春まだ寒い時期に始まって、四季の巡りを感じながら、実りの秋の終わりまで続きます。畑と田んぼと、様子は異なりますが、収穫の秋で一巡することが体でわかります。その最後の締めくくりが収穫祭です。この日を迎える喜びは、一年の巡りを感じた人には格別です。大家族では、畑の研修生と田んぼの研修生がが合同で収穫を祝います。

収穫祭はいろいろな形があるでしょうが、大家族というより、私のところではもうかれこれ20年ぐらい、収穫祭はみんなで餅をつきます。

あ、ただし、その前に近くに神社にみんなでお参りして、お米や野菜をお供えして、一年の実りを与えてくださったことを氏神様に感謝します。

餅を搗くそばから、磯辺巻、黄な粉餅、あんころ餅、納豆餅、大根おろし餅などをみんなで作って、かたっぱしから食べるという、食い気丸出しのお祝いをしています。有機栽培のもち米を使うことでまずおいしくなります。薪で蒸すので、さらにおいしくなります。杵で搗くので、またさらにおいしくなります。餅つきで適当に体を動かしてから食べるので俄然食欲も増しています。搗きたてを食べるので、またまた一段おいしさが増します。というふうに、一番おいしく食べる仕掛けがしてあります。

今年もみなさんその味を十分堪能されていました。

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お酒も適度に入って、お腹が膨れたところで、修了証書の授与式を行い、自然耕塾生は自分たちが丹精込めて育てた不耕起・冬季湛水のお米を併せて受け取ります。一年の苦労が脳裏に蘇っているようでした。

 

その日は、ぽかぽかの小春日和で、とても穏やかな日差しの中で畑と田んぼの研修生もすぐに打ち解けて、とても和やかな雰囲気の収穫祭となりました。

小川