多年草化稲の報告会

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不耕起・冬期湛水の「大家族」の田んぼでは今年、昨年植えた苗が冬の寒さを乗り越えて、再生しました。そして、目覚ましい生長を遂げて、秋にはたわわに稔りました。稲の多年草化は前代未聞の現象のようです。

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多年草化した稲の生長は異例ずくめで、今までの稲の常識を覆すことが多々あります。例えば、一株に70本から100本も茎があったり、本来の実りの時期より2カ月も早く穂を出したり、3か月以上にわたって穂を出し続けたりしました。その強靭な生命力は驚異的です。

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(圧倒されるような、巨大な根。土や水がなくても、茎を立て始めた。)
報告会では、多年草化した稲の一年の生長を振り返り、どうして多年草化したのか、一年草の普通の稲と何がどう違うのか報告します。そして、3年目を迎える可能性はあるのか、稲の多年草化技術は可能かなどについて現時点での見通しをお伝えします。その上で、参加者と活発な意見交換をしたいと思います。

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(刈り取った多年草化稲。品種はさとじまん)
希望者には種をお分けします。
米作りの経験の有無にかかわらず、稲の多年草化に興味関心がおありの方は、どうぞ奮ってご参加ください。

日時:12月13日(日)午前10時~12時半
場所:合資会社 大家族の田んぼ(相模原市中央区田名塩田)
定員:25名
集合場所:カインズホーム田名塩田店前に午前9時半
会場までそこから徒歩7分
参加費:1000円
申込み:facebookのメッセージか以下のメールに住所、氏名、電話番号を記入して
お申し込みください。
daichitotomoni@gmail.com

 

バインダー様、様

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(一条刈りバインダー)

稲刈で欠かせない道具が、鎌です。ただ、それでは、一人で一日やっても2畝(200㎡)ぐらいはざかけできるかどうかという感じですね。大家族の主力はバインダーです。それを使うと、どんどん刈って、束ねて、稲束をポンポンと脇に投げ出してくれます。何とも器用な機械だと、毎年感心します。おそらく日本人が考え出したのだと思いますが、こういうことを考えだした技術者には会ってお礼が言いたいですね。バインダーが描き出す幾何学模様を見るのも、稲刈りの楽しみです。

2条刈りバインダー

(二条刈りバインダー)

そのバインダーですが、1条刈りだと、人力20~25人分ぐらい働いてくれます。2条刈りだと40人分ぐらいの働きがあります。カッターと呼ばないで、バインダー(結束機)と呼ぶのは、なぜだろうと訝しがっていましたが、やってみるとわかります。刈るのは、簡単。でも、束ねるのに時間がかかるのです。その大変な方をばんばんやってくれるので、バインダーと呼ぶのでしょう。今では、その呼び名に納得しています。大家族ではそれに加えて人力で、はざかけをして、天日干しにします。そうやって、何とか1町歩(10,000m)まではこなしています。(残りはコンバインで収穫します。)バインダーがあっても、結構大変な作業です。スタッフがよくやってくれるし、市民のお手伝いもあって、4トン近くのお米を天日乾燥できています。

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やはり、味の最後の仕上げはお天道様なんですね。土地の農家もそのことはよく知っていて、「コンバインじゃ、味が落ちるからなあ。」と、望地では手間のかかる方を選択する方がいまだに多いですね。大半は自家用だからだと思います。

そんなわけで、稲刈りの季節は、私にとって、「バインダー様、様。」毎回、「今日もよろしくお願いします。」と声をかけて、無事刈り終ったら、「ありがとうございました。また、明日もお願いします。」とお礼を言います。どちらも中古で、とくに2条刈りの方は20年前か30年前の代物で、ご老体ですが、良く働いてくれます。その機械はたったの3万円で買ったのですが、(新品だと80万ぐらいし)、その元の持ち主から「良く動いてるなあ。」と言ってきたので、「もっと早く壊れると思ってましたか。」と半分からかってやりました。感謝して使うと、機械でも老体にムチ打って、がんばってくれます。

小川

「農」のある暮らしと、農業療法の提案

野菜の手入れ

田畑の持つ癒しの効果は、だいぶ広く知られるようになってきました。ストレス社会で畑を持ちたいと思う人も都市部ではずいぶん増えているようです。田畑を活用して精神疾患の治療を進める農業療法という言葉もあります。しかし、まだまだそれを活かしている組織や団体は少ないように思います。

大家族では、『「農」のある生活』を後押ししたいと思って、
和み農園 (相模原市中央区にある有機栽培貸農園)
やってみ田んぼ (有機米作りの体験農園)
いのちいきいき栽培研修会 (野菜の栽培方法を学ぶ)
自然耕塾(不耕起・冬季湛水・有機栽培の米作りを学ぶ)
の4つを開設しています。
そして、障害者の受け入れも始めました。

今後は、農業療法を実施したい団体と組んでいきたいと考えています。

芋掘り                私が前から気になっていることで、個人的に一番畑や田んぼに呼びたいのは、鬱で苦しんでいる学校に先生方です。以前は不登校の子供達の自立支援をしていたわけですが、今助けが必要なのは、むしろ学校の先生方ではないかと思います。神奈川県内の公立小、中、高等学校だけでも鬱で長期休職中の先生方は相当数に上るのではないかと思います。そういう先生方に限らずですが、精神疾患で悩んでいる方々に大地の確かさ、頼もしさ、作物の命の持つ逞しさ、健気さ、必死さ、全てを活かす自然の素晴らしさ等々、大地の上で、草の香りをかぎながら、お伝えしたいことは山ほどありますね。そして、黙々と草を取る、太陽の下で思い切り汗を流す、愛情込めて作物の手入れをする。田んぼの中のたくさんの生き物と出会う、などなど。そういうことをやっていたら、大地のエネルギーを足の裏から吸い取って、頭の中に渦巻く想念毒がすっと大地に吸収されて、体の中を宇宙の気と自然の気が駆け巡って、自分の優しさに気がついて、きっと萎えていた生命力が力強くまた脈を打ち出すのではないかと思いますね。作物に施した愛情に作物が素直に応えてくれるのもよい癒し効果を生むでしょう。

大都市の一角にある大家族では、田畑をそのように活用してほしいと願っています。

これを読んで何か心当たりのある方は、どうぞお気軽にご相談くだ さい。

小川

 

稗を取って、取って、取りまくりました!

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8月、9月と稗取りにいそしみました。取った稗は持ち帰るのがしきたり。今年も稗の山ができました。〆て、トラック5台分か?高齢化で田んぼに入らない農家が増えて、その貰い種で稗が増えています。

さて、こんだけ取ったら、もう田んぼの神様も、「よかろう、稲を刈れ!」と言ってくださることでしょう!

障害者のみなさんに助けていただいてます。

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8月に社員の募集をかけたら、なぜか市内にある障害者施設リアンから電話があって、農作業をさせてもらえないかとの打診がありました。「大家族」は先客万来、どなたでも受け入れているので、その場で「すぐ畑に来てください。」とお返事しました。その1時間後には畑で話がまとまるという電光石火の決着を見て、その翌週から週1回障害者のみなさん数名がスタッフと一緒にお手伝いに来てくださるようになりました。

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このところはずっと大豆畑の草取りをやっていただいています。皆さん、本当によくやってくださって、畑はどんどんきれいになっていき、人手不足の「大家族」はとても助かっています。障害者のみなさんにも良い気分転換になるようで、とても喜ばれています。
リアンのみなさん、いつもありがとうございます!
またよろしくお願いいたします。
小川

自然耕塾の稲刈

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春まだ浅い3月上旬に始まった不耕起・冬期湛水(一年中田んぼに水を張ること)の米作りを学ぶ第5回自然耕塾は回を重ねて9回目。理論と実習を組み合わせた7か月の学びと苦労の結晶が稔り、ようやく稲刈り・はざかけ作業に漕ぎ付きました。

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生憎小雨が降ったりやんだりする、どんより、ひんやりした稲刈りスタートでしたが、昼には雨も上がり、はざかけが終わるころには日も差して、気温も上がり、風もすがすがしく、何とも達成感と心地よさの実感溢れるフィニッシュでした。

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8月下旬からの日照不足が懸念されましたが、強い生命力を有する冬期湛水田の稲は、日照が回復した最後の3週間で後れを取り戻し、最終的にはかなり良い稔りとなりました。
例年学びのために様々な実験を行っていますが、今年は肥料の工夫で今までで一番収量が多いのではないかというのが、はざかけされた稲の様子から伺えます。

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しっかり天日干しをして、脱穀は2週間後を予定しています。
なお、ここの田んぼのお米は大家族の最高級米(玄米10㎏8300円、白米9,130円)なのですが、毎年真っ先に予約が完売してしまいます。生物多様性水田ならではの
自然豊かな味わいと高い生命力が調和して、格別な味になっているためだと思います。

小川