地球のエネルギーをプラスにする米作り
昨日、一番大口のお客さんにお米を納めてきました。絞めて1800㎏、60俵です。
このお米は全国規模の流通に乗ります。ということは、大型倉庫で保管されます。ということは、納入するときに水分を一定にしないといけません。ということは、乾燥機で水分調整をしながら乾燥させないといけません。ということは、コンバインで刈るのが合理的です。そして、当然ながら、トラクターで耕して、田植え機で植えて・・・、と完全に機械化された稲作になります。
さて、そのような機械化稲作が今の日本ではごくごく一般的に行われていますが、それでは、それで地球全体のエネルギーはプラスになるでしょうか?それとも、マイナスになるでしょうか?
私の恩師、岩澤信夫先生はそれを計算したところ、1キロカロリーのお米を生産するために 農薬と化学肥料を使う化学農法だと、2.3キロカロリーの石油を消費することがわかったそうです。化学農法のお米を食べるということは、石油をがぶ飲みすることを意味しています。そして、化学農法で生産すればするほど、地球全体のエネルギーはどんどん減っていくということです。
それが、有機栽培になると、農薬と化学肥料を使わない分だけ、地球のエネルギー消費が改善されます。しかし、まだプラスにはなりません。それに加えて、不耕起・冬期湛水にすると、トラクターも全然使わなくなって、肥料もいらなくなるので、エネルギー消費はさらに大きく改善されます。ただ、プラスになるかどうかは、今は亡き岩澤先生からは聞くことができませんでした。
そして、ここからは、自然農法の開発者である福岡正信さんの主張になりますが、不耕起・無農薬・無肥料で、かつ全て人力で米を作るのが、最も地球のエネルギーを高めるというのです。ちょっと考えれば、そんなことは当たり前のことなんですが、彼は、もう50年も前に米作りと地球のエネルギー消費の関係について考えていたんですね。高度経済成長真っただ中にあって、エネルギー多消費稲作の行く末を正確に見据えていたんです。すごい人物です。
ということで、専業農家として一番力を入れたいのは、不耕起・冬期湛水の米作りです。しかし、冬期湛水できる田んぼがとても限られていて、自分の夢はほんのわずかしか実現していません。
なので、それならば、市民の皆さんに頑張っていただこうと始めたのが、「やってみ田んぼ」です。自分と自分の家族のお米は自分の体を使って100%人力だけで、有機栽培で、できれば不耕起で、作っていただく。首都圏だったら、そういう方が1000人、1万人と増えていったら、どうでしょうか?母なる地球はとても喜ぶことでしょう!
地球環境のことに関心の高いみなさん、ぜひこのことをちょっと立ち止まって考えていただけないでしょうか?
主食であるお米を自分で作るということは、食の安全と食料の安全保障を確保するだけではなく、この地球にとってもとても良い事なのです。