(本葉を大きく広げた大豆は愛らしい)
津久井在来大豆の話を続けます。
種をまいて、無事芽が出て葉を広げることができたら、一安心というより大安心です。このあとは、大豆君たちの真価が発揮されるからです。彼らは次から次からどんどん葉を出しては広げていって、見る見る間に大きくなっていきます。その速さは雑草に匹敵するほどで、私は大豆ほど早く生長する作物を知りません。だから、足元は光が差さなくなって暗くなり、草が生えにくくなります。そうやって、大豆君は草に負けないくらい早く逞しく生長していきます。おかげで、草取りは一回さっとやるだけで済んでしまいます。もちろん、そのような栽培方法を見つけ出すまでに試行錯誤がありましたが。
ですから、こんなにこの土地に適合した作物は他にはないと思います。農家はそういう大豆をどうして作らないのか。作らなくなってしまったのか。大粒でたくさん収穫できて、味も濃い津久井在来大豆なのに。私には不思議でなりません。
小川