自然耕塾11回目は、いよいよ収穫の技=脱穀が主たる実習となりました。4畝の不耕起冬期湛水の田んぼの稲束は高性能の脱穀機で素人でもみるみるうちに脱穀されて、50分ほどで脱穀作業は完了しました。並行して、藁は手分けして田んぼに戻しました。
ちょっと休憩してから、「今日は、脱穀作業に習熟していただきます」と話して、川を挟んだ反対側にある、普通に耕した有機栽培の3.6畝田んぼの脱穀も手がけました。そこでは、藁を束ねる作業や押し切りで藁を切る作業も体験してもらいました。自然耕塾@相模原では、そのようにして、自給自足を目指す人にも、専業農家を目指す人にも少しでも多くの異なった技術を身に着けてもらえるように努めています。
そうして、最後に不耕起冬期湛水の田んぼで取れたお米の袋数と、有機栽培の田んぼの米袋の数を並べてみたところ、全員がびっくり。なぜかというと、みんなで一年間丹精込めて育てた冬期湛水の田んぼの収量よりも、ほんの少ししかか面倒をみなかった有機栽培の田んぼの収量の方が格段と多かったからです。
その最大の違いはなにかというと、地力です。どちらにも全く同じように肥料を与えているにもかかわらず、川を隔てた左側と右側という、それだけの違いで、そのような大きな違いが実際生じるのです。
これで、今回の最大の学びが明らかになりました。地力の差はとても大きい!借りるなら、地力のある田んぼを手に入れよう! 塾生としたら、できれば、収量の多い方が一年間面倒を見た冬期湛水の田んぼであってほしかっただろうと思います。私も心情的にはそうです。しかし、自然は厳しく、ときに冷酷です。全然見たくない現象を見せつけられることがあります。大切なのは、心情に反する事実であっても、その事実を冷静な心でしっかりと受け止めて、冷徹な目で自然から客観的に学ぶことです。そして、その事実が好ましくない、不都合なことであるならば、それを改善するためにさらに知識を求め、知恵を働かせることです。そうやって、一歩一歩与えられた自分の田んぼを良くしていく努力を重ねていく。それが米作りの営々たる営み、すなわち、人と自然とが織りなす一体化の営みとなっていきます。
以上