(小粒のサトイモ。売るには手間がかかる。)
農業をやっていてつくづく勿体ないなあと思うことの一つに、大きすぎたり、小さすぎたり、色や形が悪かったり、虫が食ったりして、売り物にならない野菜や豆やお米がたくさんあることです。それらの多くは廃棄されてしまいます。自家用に食べたりもしますが、一軒で食べられる量には限界がありますから、捨てる量の方が圧倒的に多くなります。
私のところでは、お米だと、だいたい全体の1.5~2%程度で、作物の中では一番廃棄率が少ないと思います。それでも、5トン生産すれば、75㎏から100㎏にもなります。確かに味は少し落ちるでしょうし、小粒なので食べずらいと言うこともあります。しかし、家族のためにだけお米を作っているのだったら、勿体なくて、大事に全部食べるでしょうね。…
野菜だと、見当で言いますが、全体の10%から15%ぐらいだと思います。できるだけ廃棄処分にしないように、盛んにお裾分けをしたり、不揃いでも値段を下げて売ってみたり、あれこれ工夫をしているので、その程度で済んでいるのです。
そういった工夫の極めつけは、“虫食いあり”とうもろこしです。実際に売ってみたら、お客さんはちゃんと承知して買ってくれました。その時は感動しましたね。
(恰好が悪かったり、ネズミがかじったりで、売れないサツマイモ。)
さて、一体日本全国でどれくらいの量の野菜が廃棄されているのかと言うと、どこかで読んだのですが、なんと全生産量の4割にもなるそうです。途方もない量ですよね。大規模に栽培しているところほど、廃棄率も量も増えるのではないかと思います。何とも何とももったいない話です。
国民一人一人が大なり小なり、自分の畑と田んぼを持っていて、それが国民生活の基本的な営みとなれば、そういう無駄はほとんど一掃されるのではないかと思います。自分が育てた野菜なら、虫が食っていようと、色が悪かろうと、必ず食べますよね。例えば、国民総幸福度(GNH,Gross National Happiness)が97%と世界一を誇るブータンでは、きっと国民の農地保有率もとても高いだろうと推測しています。
そのブータンでは、あるとき、今のアンチュク国王が巷で国民の声をじかに聞いた時、ある老人が自分には作物を作る土地がないと訴えたら、なんと国王が土地を(買って?)与えてくれたそうです。私もそういう国に住んでみたいですね。GDPはもううんざりです。
作物を育てて、それで作った料理を食卓に載せることは、大地に根差した生活で、それは日々の平凡でも幸せな生活に不可欠な要素だと思います。
今の農地に関する法律はがんじがらめで、矛盾だらけで、市民にはなかなか土地を借りることもままなりません。しかし、農家がその気になれば、状況はいかようにも変えられると思います。例えば、貸農園や体験農園がそれです。特に大都市周辺の農家がそのような気になってくれれば、遊休農地がどれだけ生かされて、市民の幸福作りに貢献できるか、計り知れないと思います。行政ももっともっとそういう視点から、足元にある遊んでいる土地の有効活用を真剣に考えてほしいですね。