無肥料栽培にこだわらない 

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自然農法にあこがれる人は、無農薬・無化学肥料はもちろんのこと、耕さなくても作物は育つことや、無肥料でも育つことに感銘を受けて自分でもやってみたいと思う人がとても多いと思います。私のその一人でした。
しかし、今ではそれはどちらでもいいことなのだと思うようになっています。

 例えば、今年、無肥料栽培の不耕起の畑のトマトではこんなことがありました。
そこは、連作3年目の場所です。トマトは一度作付したら3,4年は作らないほうがいいと言われているので、既にその時点で私のやっていることは常識外れです。しかし、7月後半から収穫が始まって1か月はゆっくりですが、とてもいいトマトが稔り続けました。異常高温が続いていましたが、トマトに異常は見当たりませんでした。大玉は1個200円でも売れるほど美しく、しかも自然な優しい味でした。この時点で自然農法はとてもよく機能していました。

しかし、お盆の頃から次第に葉の色が薄くなってきて、成長も鈍化して、辛そうに見えてきました。折しも、日照不足と、トマトが大嫌いな長雨と低温の日々となって、成長はピタッと止まってしまいました。 私は異常事態、緊急事態だと判断してトマトに自家製肥料をたっぷり与えました。

 

すると、異常気象の中でも徐々に葉色は緑色に戻り、止ってしまった成長が始まり、だんだんと茂るようになって行きました。しかし、花も咲かず、なかなか実はつけませんでした。お彼岸の頃になると、本来の秋らしい陽気に戻りました。一般的には、その頃までにはトマトの収穫は終わって片付けられてしまいます。しかし、私のところのトマトは花を咲かせて、ゆっくりとですが実を付け始め、そして枝葉を伸ばして、元気に成長を続けました。

そして、10月も後半になった今、不耕起栽培のトマトは、写真のように、ずいぶん沢山の実が色づきそうな気配です。
今ではすっかり元気を取り戻しています。

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この事例から様々なことを学ぶことができますが、一番大切なことは肥料のお蔭でトマトは復活したということです。8月の時点で、もし私が自然農法だから無肥料でやるんだとこだわり続けていて、肥料を与えていなかったら、トマトはもう全く実を結ばなかったのは確実です。異常事態が起こったときに栽培者は医者や介護士のような立場と同じで、その命を守るために最善を尽くすべきだと思います。命の危機を前にして、自分のこだわりを持っていたら、その命を救うために、その命に一番必要な対応をすることができなくなってしまいます。そこに、農法にこだわり、農法に囚われる際の大きな問題があります。

そして、二つ目の学びは、上手に育てれば、(ゆっくりですが)トマトは10月の終わりになっても実を付ける作物だと言うことです。トマトは本来とても息の長い作物です。また、意外と寒さにも強い作物です。たぶん11月の終わりまで、霜の降りるまで、実を付け続けると思います。

トマトとは、7月から11月まで“長~いお付き合い”をしようぐらいの気持ちで、その命を見守って、面倒を見てやるとうまくいくように思います。とは言いながら、毎年いろんな失敗を繰り返している私ですが・・・・。

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