(いのちいきいき栽培研修会6回目)
不耕起栽培と聞くと、関心のある人ならすぐ無肥料栽培を連想する人が多いと思います。そして、よく知っている人なら、不耕起だとあまり生育がよくないのではないかと思うかもしれません。
確かに、私の経験でも耕した畑の作物と比べると、不耕起栽培の作物は大きさも生産量も少ない傾向があります。なので、私は最近では不耕起栽培でも肥料をやることが多くなっています。それでもまだ普通の栽培より収穫量は少なめです。その代り、鮮度や密度は抜群です。
ところが、写真にある在来種のとうもろこしだけは別物です。甲州という品種ですが、種まきした時に元肥を適度に入れるだけで、ぐんぐん伸びて、背丈は2m以上にもなります。そして、8月中旬には、ご覧のように実にびっしりと実が付いた大物になってくれるのです。一粒一粒が大きくて、姿は豪快です。虫もほとんど入りません。普通の有機栽培のとうもろこしだと、虫の侵入を防ぐのはとても難しいですね。
それで、味はどうかというと、「馬になった気分で食べてください。」と私は研修生に真顔で言います。すると、研修生からどどどっと笑いが噴き出します。
この品種は明らかに穀類系ですね。粉にしてタコスみたいに加工して食べた方がよさそうです。まだ未熟なうちに焼いて食べるという方法もあるそうです。我が家ではいくら作っても家族がほとんど食べてくれません。甘くて柔らかいのに慣れてしまっているので、見向きもしません。「世界の9億の人は飢餓で苦しんでいるんだよ。」と言っても、どこ吹く風といった顔をしています。
それでも、私は毎年甲州を作り続けています。いつか、どこかでこの穀類系が飢えを凌ぐのに大いに役立つ日が来るだろうと信じて。
研修生にはお土産に一本ずつ差し上げました。どうやって食べたのか、次回の報告が楽しみです。
小川