最近ちょっとはまっているゲームをご紹介します。それは小売ゲームです。そのゲームはとても簡単です。売りたいと思う野菜を荷造りしてお店に並べて、どれだけ売れたかを競うゲームです。相手はお客さんです。
というと、なんだそれって、ただ野菜を売っているってことじゃん。そのどこがゲームなの?といぶかしがることでしょう。ごもっとも、ごもっとも。でも、それはれっきとしたゲームなんです。お客さんと楽しむゲームです。
例えば、長さが15cmしかない細身の大根。これは売れると思いますか?スーパーではそんなの、まず売ってないですよね。でも、売れるか売れないか、試してみるのは、一種のゲームでしょ?!あるいは、重さが1kg以上もあるサツマイモ。これは売れると思いますか?それを試してみるのも結構わくわくするゲームですよ!置かせてもらっているお店から拒絶されなければの話ですが・・、あるいは、お客さんから「客をばかにするな!」と怒鳴られなければ。
そうやって、このところ、いろんな「売れそうもない野菜」が本当に売れないのかどうか、ゲーム感覚で試しています。すると、どうでしょう。まさかと思うようなものでも結構売れるんです!
上で挙げた巨大サツマイモ。これは10個あるお店に並べてもらったら、ただ置いておいただけなのに、2日で完売してしまいました。その際、売れそうもない形はどんな形かって、そんなことも予想したんですが、それも当たりましたね。サッカーボールのような芋らしからぬお芋さんが一番最後まで残りました。 それでも、もらってくれる人はいたんです!
どういう売り方をしたかですって?みなさんに当ててほしいですね。当たった人には、先着一名様に巨大さつま芋を3個贈呈しましょう。これまた面白いゲームになりますよ。どうぞ、お問合せフォームから投稿してください。その際、住所をお忘れなく。
そんなこんなで、今までの農家の常識で、あるいは消費者でもある私の常識で、今までスーパーや八百屋さんでは見たこともないような野菜が実は結構売れるんだってわかって、感動しています。それで売れた野菜を列記しましょう。 ・虫食いトウモロコシ (お店の人にはけっこう不評でしたが・・・ ・間引き菜(大根、かぶ・・・ 普通、農家は捨てている。 ・いろんな大きさの大根、キャベツ、白菜、ブロッコリー ・いろんな形、いろんな大きさのサツマイモ、虫食いサツマイモ
言うまでもなく、虫食いトウモロコシが最もスリリングでしたね!絶対売れないだろうと思っていましたから。だって、がぶっとやたら、虫が出てきたなんてことになったら、2度とうちのトウモロコシは普通なら買ってくれないですよね。それでも、試しちゃいました!正直に「虫食いあり!」とはっきりわかるように書いたラベルを張って、並べたのです。そうしたら、結構、覚悟を決めて(?)買ってくれた人がいたのには、我ながら驚き、かつ感動しました。
そういうゲームをお客さんとの間であれこれやってわかったことは、有機栽培の野菜を買うお客さんの多くは、一番大切にしているのは、見てくれじゃないんだということです。本当に安全で、本当においしかったら、お客さんは見てくれが悪くても、虫食いでも、中に虫が潜んでいるとわかっていても、農家に付き合ってくれるんですね。これは農家にとっては、大発見ですよ。
私はこのようなゲームをして、消費者のみなさんを見直しました。そして、農家は既成概念や固定観念に囚われすぎているのではないかと思うようになりました。よく曲がったキュウリのどこが悪いという話は出ますが、消費者の懐の大きさはそんなものではないと思います。もっともっと大きいんです。
ちなみに、大家族では「できた野菜はみんなで食べてあげる」というモットーがあります。それで、今言ったようなゲームをやっているというわけです。それは、育ってくれた野菜さんに対する誠意だと思っています。きっと大家族の不器量野菜を買ってくださるお客さんにも同じような優しい思いがあるのでしょうね。うれしいことです。
小川