藻 から植物の進化の歴史を遡って、 びっくりしたことをもう一つご紹 介します。ご存じのように、太古 の時代、最初の生命は海の中で生 まれました。不思議なのはその頃 植物がまだ誕生していなかったの で、大気中に酸素はありませんで した。酸素がないから、生命は生 きられません。しかし、それでは いつまでたっても地球上に生命は 誕生しません。さあて、どうした ものか?天地創造の神様は全知全 能の神様ですから、悩むはずもな かっただろうと思うのですが、奇 策を講じました。酸素がなくても 息をしてちゃんと生きることがで きて、しかも酸素を作り出す微生 物をその指先で創造されたのです。 それがシアノバクテリアと呼ばれ る藍藻類です。シアノバクテリア は植物ではなくてバクテリア=細菌なのに、なんと 体内に葉緑体を持っています。そ れで当時たっぷりあった 二酸化炭素で光合成をして酸素を 作ることができました。そのおか げで、後に続く「生き物」は酸素 を吸って呼吸をすることができるようになりま した。よく世の中では、「鶏が先 か、卵が先か」という議論がなさ れますが、生命の進化の歴史の最 初にはそれがありません。「呼吸が先か、光合成が先か」という議論では、最初だけは例外だという答えになります。神様は いきなり酸素がなくても呼吸をするシアノバクテリアを造って、 その後の進化の歴史においては、 全て理屈に合うようにした、すなわち、呼吸と光合成が同時にできるようにしたのです。つまり、「いきもの」=「息物 」=「生き物」と言う等式が成り 立つようになったのです。(ただし、異論もあります。つまり、生命現象ではなく、自然現象で水から酸素が微小ではあるが作られていて、それを吸っていたという説もあります。)
さて、下の写真はスペースシャト ルから撮った写真です。北太平洋 の海中で光合成をして海を緑色に 染めている植物プランクトン(= 藻)です。そうして放出している 酸素の量が、記憶が正しければの 話ですが、地球全体の酸素生産量 の4分の一にも上るそうです。藻 に感謝しないといけませんね。( なお、凡人の浅学ゆえ、間違いが あれば、遠慮なくご指摘ご指摘ください 。)
小川 誠