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藻に見る天地創造神の”指先”
みなさんもこの有名な絵を見たことがあるでしょう。『アダムの創造』と題されるミケランジェロの大傑作一つです。天地創造の神が土から造られたアダムに霊魂と生命をその指先から放電するかのように注入している場面です。私はこの絵が大好きです。ここで示された天地創造神の指先の力は当然ながら、他の生命の創造においても発揮されています。
「「和み農」では、一番大切なこととして「全ての生き物との共生」を挙げています。それで、生き物の進化にも関心があって、その歴史を遡って最初の生命の誕生に突き当たると、驚くべき事実に直面します。 幻の藻サヤミドロとの共生の仕方
これは自然現象であって、偶然の産物でしょうか?とてもそうとは思えません。それはDNA配列の素朴
小川 誠
蓮池作りの思いで
サヤミドロとの共生
上の写真はサヤミドロが何百年ぶりか知りませんが、不耕起栽培にすることで発生した田んぼです。ここは冬の間も水を張っている(冬期湛水と言います。)ので、サヤミドロはもう2月ごろから発生し、田植えの頃はこのように一面を覆います。普通なら、農家は除草剤を撒いて藻を消してから田植えをします。大家族では、水を切って、その藻をかき分けながら、田植えをします。そして、そのあとで水を入れると、写真のような光景になります。普通の農家ならぞっとする光景ですが、大家族では歓迎すべき光景です。サヤミドロは厚く繁茂していて、光を通さないので、そこでは本当に驚くほど草が生えてきません。稲と藻との共生と言えるかもしれません。
参考までに、下の写真は藻が植えたばかりの稲の苗に覆いかぶさった様子です。そのままでは苗は枯れてしまいます。
大家族では水位をこまめに調整することでそうなるのを防いでいます。
幻の藻サヤミドロが冬の小川に
田んぼの作業を終えて帰りがけ、いつもとは違う小川の緑に気づいて車を止めて近づいてみると、それは幻の藻サヤミドロでした。
その藻は普通の田んぼでは見られません。耕さない田んぼにしか発生しない藻です。それがどうして小川に発生したのか?
じつは、原因は私にあります。5年前、耕作放棄地を田んぼに再生して、2年目から耕さないでお米作りを始めたところ、サヤミドロが発生してきました。その時はとても感動しました。いったい何百年間そこで眠っていたのか。私は毎年その田んぼで苗代を作って苗を育てています。その苗を運んでほかの地域にある多くの田んぼでも米を作っています。すると、その苗にサヤミドロの胞子が付着したのでしょう、そこの田んぼ群でもサヤミドロが発生するようになりました。その量が年々増えています。でも、もちろん、私の田んぼでしか見られません。ほかの田んぼは除草剤を撒くからです。きっとそのサヤミドロの胞子が排水路から小川に流れ込んでいたのでしょう。小川ももちろん耕していませんから、サヤミドロは自分の住処と思ったのでしょう。5年目にして発生したのです。見ていて大変美しい緑色をしています。
さて、サヤミドロは普通の図鑑には載っていません。農家も全然知りません。でも、素晴らしい働きがあります。まず、もちろん魚の隠れ家になります。餌にもなります。そして、大量の酸素を水に供給するので、生き物が増えていきます。つまり、田んぼの生物多様性再生の起爆剤になる重要な藻なのです。そして、最後は、田んぼの肥料になります。 5月になると用水路に変身するその小川。農薬が流入するようになるので、サヤミドロはたぶん死滅するでしょう。でも、きっと冬場になると、きれいな湧水だけになり、幸運なことに湧水はほどほどに温かいので、又再生するのではないかと思います。何百年か眠っていた藻が自然環境の中に生きて行ける場を見つけたのです。うれしいですね。
小川
冬の間もコツコツと
立春を過ぎると、土が柔らかくなり始めます。それで、新しく借りた畑に肥料をすき込む作業をしました。
白く見えるのは、おからです。そこに米ぬかも播きました。そして、天然の貝化石の粉末も。ミネラルを供給するためです。そうしてから、トラクターですき込むと、肥料は土にきれいに混ざっていって、草も同時にすき込まれて、きれいな黒土になります。
運転しているのは、3年目になる女子スタッフ。若い女性がトラクターに乗るのはまだ珍しいですね。もう堂に入ったものです。
そうして、1か月半ぐらい待つと、肥料は発酵して土となり、種まきが可能となります。今年はおからをもらうたびにもう1月から少しずつ田んぼでもすき込み作業をやっています。この冬の間の仕込み作業をやるか、寒いからやらないでこたつで丸くなるか、その差は夏に出てきます。
コツコツと 冬の間に 精を出せ
夏の暑さも 実りで報わる
「和み農」勉強会
「和み農」勉強会を開催しました。
主に6年前から開いている野菜の研修会と田んぼの研修会の修了生に呼びかけたところ、16名の参加があって、広間はいっぱいになりました。修了生の一人、吉田薫さんは東洋医学の見地から化学農法、有機農法、自然農法の野菜の成分分析をして、その違いを見事に解き明かしていて、目から鱗でした。吉田さんはいわば民間研究者。とても頭も体もフットワークがよくて、行動派。素晴らしい方です。今後の活躍を大いに期待します。
さて、「和み農」は私の造語です。
21世紀という環境の世紀、その時代に適応する農法がありません。農業は優れて自然環境を守りもするが、壊しもする両刃の剣です。現状は環境破壊産業、環境大汚染産業と化しています。そこを何とかできないか、現代農業の根本的な疑問や課題に対する答えを一つ一つ出して行って、まとめたものが「「和み農」です。まだまだ完成からは程遠いですが、骨格は出来上がりました。
その最初の説明会を昨日開くことができて、とてもうれしく思いました。これから、この紙面でも少しずつ「和み農」の考え方をご紹介していきたいと思います。
小川 誠
ヒキガエル君との共生の試み
みなさんは畑にヒキガエルがいることを知っていますか?今や、絶滅危惧種リストで希少種となったヒキガエル。私の不耕起の畑では推定100匹ぐらいは生息していると思います。そんな畑は専用農家の畑にはまずありません。みな、とうの昔に農薬とトラクターで滅ぼされてしまっています。
私の畑では作付をしない場所はできるだけ草を刈らないようにしておきます。そこがヒキガエル君の住処となるからです。その草を刈るときは、2度刈りします。一回目に表面10cmぐらいのところで刈って土が見えるようになったら、ヒキガエル君に声をかけます。
「いいかい。これから草刈り機で地面すれすれに草を刈るから、今のうちに逃げてちょうだいよ!」
そう言って、いるかいないか、歩きながら見回って、いないとわかると、刈り始めます。面白いことに、たいてい刈り終わったすぐ後で、もそもそとヒキガエル君が頭をもたげてきます。どうも草刈り間、頭を地べたに押し付けているらしいのです。そして、移動始めるのですが、片足ずつ交互にのばして、その動作…の無様でのろいことと言ったら、ありません。〈君ねえ、カエルなら、もっとカエルらしく、ぴょんぴょん飛べよ。そもそも君はメタボすぎるよ。〉と言いたくなりますが、そこはぐっと我慢。なにせ、猛烈な速度で回転する草刈り機の刃に当たったら、イチコロです。
「よかったなあ。無事で!」
中東地域の刀狩り
イスラム国の論議がかまびすしい
中東地域に真の平和をもたらした
日本政府は今後も進んで難民支援
「和を以って尊しとなす」日本な
農業は平和をもたらす。農村の牧
中近東の人々に麦の種と鋤(=
草には負けないぞ
(本葉を大きく広げた大豆は愛らしい)
津久井在来大豆の話を続けます。
種をまいて、無事芽が出て葉を広げることができたら、一安心というより大安心です。このあとは、大豆君たちの真価が発揮されるからです。彼らは次から次からどんどん葉を出しては広げていって、見る見る間に大きくなっていきます。その速さは雑草に匹敵するほどで、私は大豆ほど早く生長する作物を知りません。だから、足元は光が差さなくなって暗くなり、草が生えにくくなります。そうやって、大豆君は草に負けないくらい早く逞しく生長していきます。おかげで、草取りは一回さっとやるだけで済んでしまいます。もちろん、そのような栽培方法を見つけ出すまでに試行錯誤がありましたが。
ですから、こんなにこの土地に適合した作物は他にはないと思います。農家はそういう大豆をどうして作らないのか。作らなくなってしまったのか。大粒でたくさん収穫できて、味も濃い津久井在来大豆なのに。私には不思議でなりません。
小川